青稜中学校 先生インタビュー「安心できる大人が親以外に学校にいると自分の気持ちを出せるんですよね。」

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取材日: 2016年7月27日 インタビュイー:理科 伊東充先生 インタビュアー:慶應義塾大学理工学部4年生 呉俊辰(教育図鑑大学生インターン)

1. 自己紹介

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呉:はじめに伊東先生の教員歴や担当教科など、簡単な自己紹介をお願いします。 伊東先生:はい、ちょうど19年くらい前に、大学を卒業してすぐ本校に赴任しました。その時は、本校が高校を共学にしたばかりの頃で、既存の先生の人数では足りないだろうということで急遽募集があって、その時に採用された中の一人です。教員免許は取っていましたが、もともと教員になろうとは全然思っていなかったんです。でも、始めてみたら、生徒との関わりとかでなかなかやめられなくなって、気づいたら20年くらいこの学校にいるという感じです。 担当科目は理科の中学では2分野、高校では生物を教えています。 今は生徒募集という、いわゆる広報の仕事をやっているので担任は持っていないです。ただ、授業では高校2年生と高校3年生の理系クラスの生物を担当し ています。

2. 進学先について

呉:進学先で多いのはどんな大学ですか? 伊東先生:共学になってから、進学に力を入れていて、最近だとGMARCH以上の学校にほぼ半分以上の生徒は入っていて、実際に国公立では12〜15%が年度によっては進学しますし、それ以外は早慶上智、ICUなどに進学します。 ただ、生徒たちには、大学名というブランドを目指していくのではなく、あくまでも本人たちがやりたいことができる学校を探して、そこに行きなさいということを言っています。そして、それに対しては、偏差値もブランドもないよということをよく言っています。 呉:国公立と私立の割合は、どんな感じですか? 伊東先生:第一志望で国公立を高校3年生の始めの段階で志望しているのは、2割くらいですかね。実際に進学するのは12〜15%。それ以外は私立という感じです。 呉:文系・理系の大学進学割合はどうでしょうか? 伊東先生:ほぼ1対1くらいです。 呉:男女比を教えていただけますか? 伊東先生:中学校は男子の方が生徒数が圧倒的に多いのですが、高校から入学する生徒は女子の方が多いです。ですから、高2で内部進学生と外部進学生が混じるんですけど、最終的にはほぼ1対1、若干男子が多いかなという感じです。 呉:中学と高校の募集人数は一緒ですか。 伊東先生:いいえ。募集人数的には、200名から300名なんですけど、実際に入学するのは、全く今と逆で中学からは130〜170人の間で、高校は180人から250人までという感じです。 伊東先生:大学現役進学の割合はここ2年で8割くらいです。 【※編集部注釈:高校生徒募集定員・・・一般入試130名+帰国生若干名/中学生徒募集定員・・・一般入試200名+帰国生若名(2017年度)】 呉:あの、最近医学部志望に人が増えてると思うのですがどうですか? 伊東先生:はい、増えてますね。本校は、志望者に関しては、昔からそこそこいたんですけど、実際に受験をして、浪人も含めて受かる生徒ってほとんどいなかったんです。それが、ここ3年くらい浪人も含めてポツポツ、1浪、2浪で受かり出して、今回(2016年度)の入試の時に現役で5名ポポポポット合格者が 出たんです。それで、やっぱり、こうなんて言うんだろう、子ども達って漠然と何にもわからずに一番かっこいい、身近かで実際に助けられた経験がある大人で一番すごい人はお医者さんというようなところがあって、医者になりたいと言ってるところがある。まあ都会の子らしいなっていうのが、収入もしっかりしてるっていうのも含めて医者というイメージがあったのが、すごく成績的なレベルもそうなんだけれど、医者という職業に対して具体的に考えられる生徒が増えてきた。それで、現実味を帯びた生徒が非常に増えたという印象がありますね。

3. 理科の実験について

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呉:理科の実験の頻度や特徴を教えてください。 伊東先生:本校では高3の最後でマウスの解剖というのを必ずやります。あと、今年挑戦してるのが、結局学校の授業って1時間ないし2時間で完結する実験がほとんどなのですが、生物に関して言うと、成長とともに変化を見ていくというのがあって、今は高校3年生、2年生コラボで、ザリガニの体色の変化の実験、あとは中学生だとほんと遊びだけど、ゴーヤを育てて、緑のアーケードを作る計画とかいうのをやっています。 呉:へぇ、面白そうですね。 伊東先生:あの、マウスの解剖を始めるきっかけというのが、医療系とかその当時、医者になりたいと言ってた生徒で結局非現実的な生徒が多くて、医者にはなりたいんだけど血は見れない。なにかそういうのに関しても、非常に精神的なバランスの悪さ、学力はあるんだけど精神的には子どもで、そういう部分で特性として伴っていない。そういう生徒たちに、ある意味、洗礼としてスタートしたっていうのがあって、希望性だったんだけど、医療系行きたい生徒が「マウスひとつ解剖できないでどうするんだ」っていうことで。やっぱりそこって矛盾じゃないですか。「命を助けたいんだけど、命を絶たないと学べない」っていう、そういうのがちゃんとわからないと助けられないよということで始めたというのがあって、多分それが今も踏襲して続いているというのがあります。 呉:高校の実験でマウスの解剖というのはすごいですね。 伊東先生:あの、相当そこは批判も受けるだろうと思っていたのが、結局かわいそうというお家(マウスの解剖実験に批判的なご家庭)がそもそもそちらの分野に行かないだろうと。出会うことがないので、我々も今の教育ってともすれば上げ膳据え膳、全部システムがあって安全にできてて必ずみんな同じ結果が出るってやってるけど、僕なんかは生物って教科をやってると、答えが一個じゃないし、やっぱりそこには、痛みも匂いもいろんなものが伴ってくるっていうことを知って欲しいとう意味では、高校生にやらせる究極の実験なのかなと思ってやってますね。 【※「ザリガニの体色の変化」・・・生物の成長による体色変化の経過をおっていくものなので、可能な範囲で追い続けています。下記写真を見て頂いて分かるとおり、同じ親から生まれた個体で1年たった状態で観察すると餌の違いによって体色が異なっているのが観察されます。】

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4. 選抜、レベル別制度の有無

呉:選抜、レベル別制度はありますか。 伊東先生:基本的には、ないです。ただ、1クラスだけ、学校の成績全体で総合的に判断して、優秀な生徒たちを集めたクラスというのがあるんですけど、そのクラスで差別化して何かをやったりとか、他のクラスよりも何かを多く渡すとかは一切やっていないです。あくまでも隣の生徒がライバルという環境を作りたいという趣旨でやっています。カリキュラムは他のクラスと一緒です。早期に枠にはめることなく、自由な発送と希望を持って学校生活を送ってほしいというエール、という側面もあります。 呉:なるほど。ちなみに2学期制ですか? 伊東先生:一応2学期制なんですけど、定期テストは年間5回ありますので、ほとんど3学期制のような感じです。 呉:テストは中間、期末以外にもありますか? 伊東先生:外部模試は、年に3回とか必ずやっています。高1からは必ずやっています。中学はもっと少ないです。高3になると必修で受けさせるのが3回で、それ以外にもほぼ毎月外部の試験を受けに行ったりやってますね。 呉:どんな模試を受けていますか? 伊東先生:河合、ベネッセ。高3になるとセンター対策だとか、直前の対策模試だとかも受けていきますね。

5. 留学制度の有無

呉:留学生はありますか? 伊東先生:留学生制度は、私が赴任したころから、2週間くらいの海外研修とかはずっと継続してたんですね。ただ、去年からは2ヶ月間の留学というのを希望者はやっていますね。 【※編集部注釈:短期留学制度・・・4・5年生を対象に、約2カ月間、カナダまたはオーストラリアへの海外短期留学を行う。 ホームステイをしながら現地の高校に通学し、現地の高校生と一緒に授業を受ける。留学先の国にどっぷり身を置くことで、文化や価値観の違いを認識し、理解し合うことの大切さを体験的に学ぶ。英語力の向上はもちろん、それ以上に価値ある体験を得ることを目的とする。】

6. 英語教育で力を入れていること

呉:英語教育で特に力を入れていることはどんなことですか? 伊東先生:英語だけに特化したということではないですけど、やはり今の時代に合わせて、英語という教科だけじゃなくて、言語としての仕組みであったり、海外に行くことによって、何て言いますか、ツールとして使えるように、そういうのをきちんと肌で感じてもらうというような意味で海外研修ではすごく、力を入れてやっています。 呉:そのような研修に参加するのは何名くらいですか? 伊東先生:基本的には高校生がメインになってくるんですけど、トータルで50人、60人、もっといますね。それくらいは参加しています。 【※編集部注釈・・・英語が話せるだけでは、真の国際人とは呼べない。最も多感で、最も柔軟に物事を吸収できる中学生・高校生の時期に様々な学びを体験し、国際社会で活躍できる力を育む目的で、下記5つのプログが用意されている。

  1. セブ島英語研修(2・3・4年生)、2. 英語サマーキャンプ(1年生)、3. イギリス英語研修(4・5年生)、4. 海外短期留学(4・5年生)、5. English Fun Program(1・2・3年生)】

7. キャリア教育について

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自然科学部の中学生(男子)と高校生(女子)がカメの世話をしている風景。自然科学部は、中学生と高校生が一緒に活動する。

呉:キャリア教育は、いつごろから、どんな取り組みをしていますか。

伊東先生:本校は中高一貫なので、中学生に対しては積極的にやっていますね。中でも、一番反響が大きいのが、実際に入学された生徒の保護者さんから、職業についての講演をしてもらうというものです。多彩な職業の方がいらっしゃるので。生徒たちが、「おおっ!」ってなるのは公認会計士とか弁護士、あとはパワポでのプレゼン慣れしてる方とかもいて。 それで、弁護士の方が来たりすると「おおっ!」ってなったりするんですけど、結局は、誰々くんのお父さんという身近な存在で、ある程度著名な人だと非現実的な体験になるのに対して、誰々くんのお父さんの話であれば、自分の手に届く範囲の現実的な夢になるというのは非常にいいところですね。 あとは、最近今年からか、チャレンジしてることなんですが、本校はようやく共学の卒業生たちで就職した人たちが出てきたので、その人たちから大学の話とか、就職したあとの話とかをしてもらうのとか。それは、高校生が対象なんですけれど、これからは中学生を対象にしてもいいのかなと思います。 あとは、本校のいいところは、中高でつながっているので、特別にそういう会を設けなくても、卒業生が来てくれて自然とそういう話をしてくれたりとか。

呉:なるほど。

伊東先生:シンプルなところで言うと、年に2回は教育実習で春と秋に卒業生が来てくれるんですよ。要するに、そこで、自分の知ってる先輩が先生という立場で帰ってきて、また違う立場で話が聞ける。そういう意味では、この学校で生活しているだけで、もうキャリア教育ですし、あとは、本校は、決して大きくないんですけど、それが故にもうすごく、乱暴な言い方すると、「先輩たちがそこらじゅうに落ちてる」。(笑)中学生が騒いでたり、遊んでたりしていても、そういう先輩たちが面談してたりとか勉強してたりという姿も自然と見られるので、自然に自分の1年後、2年後、3年後というのがイメージしやすいというのを最近すごく感じていますね。だから、本当にちゃらんぽらんな生徒に「これからどうするのか?」って来たりしても、「誰々先輩は高2のいつから、勉強してたけど、自分はもっと早くから始めないと間に合わない。でもそこまでは好きに部活をやるんだ」ということをすごく、ちゃんと見据えてる生徒たちが多いということが、建物を建て替えてから顕著に感じますね。 呉:中学高校で建物は分かれてるんですか? 伊東先生:基本的には分かれてるんです。ただ、いろいろな施設、例えば理科室とかで交わる機会っていうのが多いので、否応なしに先輩たちの動きが見えるっていう、そういうところが本校の特徴だと思います。

8. いじめへの対応

呉:最近のいじめはSNS関連が増えてきているようですが? 伊東先生:やっぱりありますよね。ただ、SNSのいじめってわれわれ学校でも限界があって、結局は個人情報で、今のいじめの問題ですごく嫌だなと思うのは、いじめって「ボタンの掛け違い」じゃないですか。まったく何もない人同士の間でいじめって起きないので、特にSNSはそういうところなので、いったんこじれると難しいですよね。本当に被害者と言われている生徒が被害者なのか、加害者って言われてる生徒が本当に加害者なのか、すごくわかりにくく、だからわれわれの場合には、加害者側、被害者側っていうのを明確にして白黒つけるっていうよりは、成長過程の中の今言った「ボタンの掛け違い」がなぜ起こったのかっていうことで本当に白黒で論点となる部分だけを抜き取ってあげて譲歩っていうことでやっていくのが一番いいかなと。そうじゃない部分だと、比較的狭い環境で誰かしらが見ていて、早い段階で気づいて対応できることが多いんですけど。いじめって本当にSNSだとこじれてから初めて表に出てくるっていう意味ではなかなか厄介ですね。SNSが普及してすぐの頃は、割とすぐに「なんか不愉快」っていって表に出てきて、「そもそもうちの学校携は帯禁止だけど」っていって、そのタイミングでやりとりしてるっていうことでなんか両成敗できてたのが、今は本当に難しいですね。 呉:携帯電話は中高ともに禁止ですか? 伊東先生:原則禁止ですね。 呉:いじめ解決のためのカウンセラーのような人はいますか? 伊東先生:カウンセラーは置いてますけど、いじめ解決というよりは、精神的なもの、これは親御さんも含めて、いろいろと心配ごとがあるときに、とにかく僕らがよく言うのはそこでガス抜きしてもらうと。ただ、どちらかというと、本校の場合は、教員が窓口になって基本的なそのガス抜き的なことには対応することが多いですね。 呉:保護者との関わりの頻度ってどのくらいありますか? 伊東先生:本校は最低でも年に2回はお会いするかな。夏に絶対に個別で個人面談をするんです、親御さんと。それ以外に5月ぐらいに保護者会があったり、あとはもうことあるごとに進路説明会というのがあったり、12月に希望すればもう一度面談をやったりっていうこともあるので本当にマメにお会いしますし、学校に遅刻、欠席あるときは親御さんから連絡してくださいって言ってるので、結構親御さんとは、べったりではないんですけど、比較的密に連絡は取り合っていますね。

9. 部活動について

呉:部活動は中高別々ですか? 伊東先生:運動部は別のところもあると思うんですけど、他は基本的には一緒にやってますね。 呉:大会で結果を残している部活はどんな部活ですか? 伊東先生:本校はあまり部活に関しては、結果にこだわっているということはなく、一回戦負けであろうが、全国大会であろうが平等に分け隔てなく応援するよというふうにはなっているのですが、その中でも面白いのがボーリング部ですね。これは、全国レベルから世界レベルに飛びました。アジアで銀ですね。残念ながらなくなってしまったんですけど、2020年のオリンピックの時にボーリングをやろうという動きがり、候補生が本校の卒業生で二人いたんです。どちらかというとマイナーなんだけど、すごく活躍して、共学1期生の、その子は女の子なんだけど今プロで頑張ってる子もいたりとか、逆に趣味的に楽しんでる子もいたりとかしますね。 呉:兼部は可能なんですか? 伊東先生:本人の体力がもつ限りは可能ですね。

10. 中学受験関係(説明会)

呉:説明会は開催してますか? 伊東先生:中学の説明会が昼間に4回、6時以降に4回、それから、体験入学というのが3回。学校に実際に来てもらい、部活や授業を体験してもらう。それと、去年からやっているのが模擬入試。前の年の本物の入試問題使って、15分くらい本校の教室の中で模試みたいな感覚で受けてみようというのですね。 呉:説明会でよく聞かれる質問はなんですか?

伊東先生:最近非常に多くなってるのが、予備校や塾の必要性。あとは、指定校推薦のこと。

呉:それに対してどう答えていますか? 伊東先生:まず予備校に関しては、本校は具体的に生徒に予備校に通っているかなどのアンケートは取らないんです。ですから、本当に主観、我々の感覚で、クラスや学年に応じて変わってくるんですけど、だいたい総じて見ると高3になると5割弱ぐらいは通っている。その中身が、いわゆる国公立、医学部などの、最難関でどうしても学校だけではなくて、複数の情報がほしいよっていう生徒。あと一番最近これ、顕著だなって思うのは、予備校で授業を受けたいというのではなくて、自習室が欲しいというのが多いですね。まったく、家で勉強しない代わりにそれを確保すると。学校と予備校の開校時間とではやはり差があるので。あとは家からの距離とかもあって、予備校に通ってる生徒も多くいますね。あと、面白いのが、学校の勉強もいっぱいいっぱいで、ついていくのもあやしいのに、とりあえず受験生だからといって通い出しちゃう人とか。さらにその中の生徒たちの半分くらいは、実際に予備校のテキストを持ってきて「先生この問題がわからない」と聞きに来ることもあって、「結局それはいらないね」っていうオチになってます。(笑)

指定校推薦に関しても、うちはGMARCHクラスの指定校は余るんです。ほとんどの生徒が一般入試を受けて、より上のレベルに行きますので、本校の場合「指定校推薦はあるんですけど、結局使わないですよね」と、その辺の事情を説明させていただくと、納得していただけるという感じですね。

11. 中学受験について(入学試験関連)

呉:入試で面接はありますか? 伊東先生:ありません。帰国生入試を去年から実施してそこだけやっています。 呉:帰国生入試は問題は全然違うものですか。 伊東先生:基本は同じ内容で、国語と算数だけでやっていますね。 呉:どこの中学を併願している生徒が多いですか。 伊東先生:本校は男子が多いので、攻玉社。あとは、昔は品川女子って言ってたんだけど、最近は顕著には感じなくなってきましたね。 呉:入試問題の科目をおしえてくだい。 伊東先生:国語、算数か、それに理科・社会をつけたものか、2科目か4科目かの選択です。配点は、国語、算数が100点、理社が60点。 呉:問題の特徴とか、どういうところを意識して問題を作っていますか? 伊東先生:算数であれば、基本的な解法とか、ちょっと工夫すれば問題が簡単に解けるとかそういう部分を意識したりというのをやってますし、本校を受験する層っていうのは、みんなごりごり応用ができるようなタイプではないので、そういういろんな難しいとかいう中から、非常にシンプルな答えを見つけるとか、そういったのをうまーくバランスよく作るようにはしてますけど。基本はオーソドックスな問題というつもりでやっています。 呉:どういった生徒に来て欲しいですか? 伊東先生:やっぱり、非常に物事に興味を持てるとか、チャレンジ精神とか、そういうの持った子に来てもらえればいいのかなって思ってます。とにかく、自分でやったことがないことに関して、興味をきちんと持てる。学力は実際にテストはやっているとはいえ、興味を持ってやってくれれば、あとからちゃんとついてくると思うんですね。あの、積極的というと発言したりとかそういうのではなくて、物事に対して前のめりで参加できる。そういう子たちに来てもらえるとうれしいなと思っていますね。

12. 授業について

呉:どんな教材を使って授業をしていますか。 伊東先生:基本的には、教科書、資料集、問題集、あとはそれ以外に、実際には教科書を順番になぞっていくというのはしないので、当然必要に応じて先生によって、独自にプリントを作ったりという感じで渡したりしています。 呉:授業で心がけていることはどんなことですか? 伊東先生:伝えるべきこと、理科の場合には公式っていうのがある程度絶対なので、それについてカチッとやるのと、同時に生物は例外が面白いところで、例外についてはきちんと材料を用意して持っていくということはしています。 呉:授業中は生徒を指名したりはしますか? 伊東先生:極力しないようにしています。極力みんなの顔見て、「はいこれどう思うって言って」。本当は、前回やった授業の内容を直接質問して答えられるっていうことをしたいんだけど、実際個人的な理想としては、一つしかない答えのことを質問するよりかは、漠然とどう思うかっていう質問を投げて考えさせるということの方が個人的には多いですけ。多分そういう授業をやってる人間は少ないと思うんですけど。

呉:伊東先生の考える理想の授業はどんな授業ですか? 伊東先生:究極は、先生と生徒というよりは、円卓でゼミ形式で議論するとかそういうのは理想だけど、当然無理です。僕なんかはどちらかという高校生を持っているので講義形式できちっきちってシステムを言ってというようにやっていますのでね。ただ、結局は生徒が能動的じゃないと知識って入ってきてくれないし、特にこれは生物という科目特性もありますけど、その授業の中で何かを習得させて終わる必要はないんですよね。要はそれよりも知的好奇心とか、関心というボリュームをちゃんとつけてあげる。要は一問一答の暗記ではなく、知識としての定着とか関心というのを持たせる方が重要かなということで、いろいろなエピソードを交えて目に見えないようなこととかもやるようにしています。あとは、一見関係ない話とかをしながらもやはり生物に関連あるようなものを出していくようなことはありますよね。

13. 日々の生徒の観察、コミュニケーション

呉:生徒の観察を日々どのように行っていますか?また、授業以外でのコミュニケーションはどのように取っていますか? 伊東先生:今は担任を持っていないので、部活動の生徒と、今の担当が自然科学部という文化部なので生き物を扱ったりとか実験をやった後、なんとなくダラっとした雰囲気の時間に、生徒達と極力いろんな話をしますね。本当に今で言えばポケモンgoの話から何からという感じで、いろんなものを用意して話をして、その中で生徒達の悩みとか、進路とかっていうことを引き出してこられたらいいなと思いますよね。 呉:先生は部活動にはどれくらいの頻度で顔を出しますか? 伊東先生:基本的にうちの部活はがっつり活動としてやっているのは週1回なんですけど、餌やりとかでほぼ毎日誰かがいるので、生徒達がいそうな時間でこちらが空いているときには顔を出すようにして、誰かしらと関われるようにって感じではやってますね。

14. 生徒の特徴

呉:生徒の特徴を一言で言うと、どんな生徒が多いですか? 伊東先生:本校の生徒たちは、年を経れば経るほど素直になります。 本校は外部評価でよく言われるのは、面倒見がいいということなんですけど、 別に面倒見がいいというよりは、先生との普段の何気ない会話が多分多いんだと思うんですね。だからそういうことをしていくとさらに、「担任とかも拘らなくていいよ」って言ってるんです。要は相性のいい先生のところに行っていろいろやりなって。結局みんな安心できる大人が親以外に学校にいて、そうすると自分の気持ちを出せるんですよね。生徒達が斜めに構える必要も何もなくて、ストレートに自分を出して行けばいいのですごく素直になってくれるというのがあるので、本校の生徒は学年が上がれば上がるほど扱いやすくなる。 呉:中学1年生から見ているとだんだんと変わってくのがわかりますか? 伊東先生:はい。それで、当然中2、中3は反抗期。女の子が先に手に負えなくなって、それで、まあ、男の子はどんなに大きくなっても所詮は中1の時の鼻垂れ坊主の気持ちがあるので、中学から持ってる先生はどんなに男子生徒が大きくなっても、「こらっ」みたいな感じで軽くたしなめられるし。(笑)そういう成長を見ながら。あとは、今まで敬語なんか絶対使えないような生徒が、高3のころには敬語でしゃべるようになってると、「お前悪いもの食べた?」みたいな感じになってくるのが、見ててすごく成長を感じられるっていう、それが中高一貫のいいところなんですかね。 呉:中2、中3の反抗期の時って生徒の対応は難しいですか? 伊東先生:あんまり難しく考えないです。裏を返すと、それはみんな来るし、そういうところで、僕が同じ目線で喧嘩する必要もないので「本当お前ら腹たつなあ(笑)」みたいな感じで、「覚えてろよ(笑)」って、こっちも本当に冗談半分にやりながらやっても結局最後は生徒たちも大人になってくので。だから、あんまり、大人な余裕がなくっていうよりは、ちょっとその辺、素直に腹が立ったら「腹立った」って言うけど、そこで遺恨を残さずって言うんですかね。そういう感じで、ちゃんと反抗させてあげるというか。とは言いながらも、大人としては、抑えなきゃいけないところもあるので、そこだけはしっかりとメリハリをつけつつやってけば、自然とこう成長してくれるっていう感じですね。むしろ、無理やり抑えたりとか、逆に全く解放してやりたい放題させるっていうのは成長の妨げになる。そこは、大人として、ちゃんと余裕を持って、一回り二回り余裕を持って対処してあげることが大事ですよね。

15. 生徒の好きなところ・直してほしいところ

呉:生徒たちの好きなところはどんなところですか? 伊東先生:よく、こういう仕事をしていて、そういう質問をされたときに、あまり表立てて感情移入しないようにしてるんです、個人的に。なんでかというと、関わって時間が経って色々やっていけば自然と感情移入をしていくので。意識をしようがしまいが。だから、自分の中で生徒のこういうところが好きとかっていうのは、むしろドライにかまえるように、それは意識しないようにしています。生徒って一人の人間で、自分に合うところも合わないところも、それぞれあるので。やはりそれを一人の人として認めてあげて、こんなところがいいよねっていうよりは、本当になんかドライな気持ちで、まっさらな気持ちで客観的な気持ちで見てあげるというのはむしろ意識してるので。嫌なところがあるという意味じゃないですよ。(笑)ちょっと質問に対しての答えとしてはあれかもしれないですけど。 呉:答えづらいかもしれないですが、生徒の嫌いなところはありますか? 伊東先生:それもドライに行きますけど、まあやっぱり、成長過程で分かってはいても、中学生とか精神年齢が低い子っていうことが間に迫っていてもきついですよね。「もう早く成長しろよ(笑)」みたいなモヤモヤはありますよね。僕らは毎年、同じような年代と付き合うので、毎年同じ思いして、まあ、本人たちは成長するので変わるんですけど。そういう意味では疲れますよね。(笑)だから、あえて言えば「なんでこっちだけ年取ってて君たち年取らないの?」っていう、「中学2年生はいつまでも中学2年生のままなの?」ていうのが一番嫌いなことですね。(笑)

16. 先生自身の目標

呉:先生としての目標みたいなものはありますか? 伊東先生:ずっとやっていて、いわゆる先生としてヒーローになりたいとかいう気持ちになったことは当初からないんですよ。黒子というか、まあ、忘れられたら寂しいけど、「あの先生がいなかったら無理っ!」ていう変な影響力を残しても嫌だなと思うので。そういった中で、生徒達が卒業して20年後とかになんとなく思い出してもらって、「そういえばあの先生にこんな影響受けたよなっ」というふうに、今すぐにではないんだけど、のちに「こういうこと言ってたよな」っていうふうに一個くらいは思い出してもらえればうれしいなあって。まあ、そういう意味では自分自身の生き様を生徒達に押し付けるのではなくて、僕自身の生き方を生徒たちに見せてあげればいいかなあって思います。 呉:なるほど。先生の教員になって、一番の苦労はなんですか? 伊東先生:苦労は、毎日。(笑) 呉:毎日! (笑) 伊東先生:やっぱり、生徒に自分の気持ちが伝わらないとか、逆にこっちがすさんでいる時に子どもとの波長が合わないってのは、苦労ですね。

17. 男女共学の良さ、難しさ

呉:男女共学ならではの難しさとか、良さってなんですか? 伊東先生:たぶん、本校でもテーマになっているのは、いわゆる女子だけとか男子だけとか、たぶん世の中でいうと不自然な状況なんですよね。だから目的を持たせる。だけど私自身はずっと共学で育っていたので、男と女は世の中にいるから、学校にいるのも当たり前できているんですよね。だからそこに対しての必ずそういうポイントって聞かれたときに「えっ?」って思っていたんだけど、最近思っていたのはやっぱり、今は男女平等というけど、「男女は精神的な平等っていうのはあるけど一緒じゃないんじゃないか」と。やっぱりそこを学べるのが共学。今は社会に出るとすぐセクハラだとか(笑)あるけど、でもそういうことを高校時代とか中学時代の未成熟な頃はまだわからないから、そういう中で性差、違いはちゃんと感じて、お互いに、良い、悪いというのを学べるっていうことは、やっぱり小さい社会として共学の学校というのは完成されていると思います。偏った考え方ではなく、バランスよくいけるんじゃないかなあっていうのは感じます。

18. 学校の変化

呉:先生が青稜にはいった当時と現在と大きく変わったことはありますか 伊東先生:受験生の偏差値。(笑)本校は昔、中学入試のとき、各塾とかの偏差値が、いわゆる“出ない学校”だったんです。それがいまやちゃんと50くらい出るようになって、もう生徒はまるで、入って来たときの感覚が違うというか。 呉:地頭の良さみたいなことですか? 伊東先生:地頭はそんなでもないんだけど、基本的生活態度とか、一般常識的な部分、発想は昔のが面白かったかも。(笑)ある意味で。でもそういう完成度の高さとか、バランスの良さとかはやっぱり全然違って、中学と高校、この学校はこの20年間で変わったなと思います。われわれもそういう生徒を指導するときの注意点は変わってきている。ただ、中にいる先生は本当に変わらない学校なのでスピリットはなんにも変わってない。われわれが歳とるばっかりで。(笑)

19. 先生方の特徴は

呉:青稜の先生方の特徴は、一言で言うとどんな感じですか? 伊東先生:やっぱり、マメな人が多いのかなあ。大雑把なこと言っても丁寧に言っても、ある部分でマメに動いている、生徒が困ったときにNOって言えない人が多い。なんか人のいいおじさん・おばさんが多いかな。(笑)

20. 先生の1日のスケジュール

呉:ふだんは何時ころに学校に来ますか? 伊東先生:学校にはだいたい7時半くらいにはいますね。担任を持っていないので、メール管理とか、業者さんとの打ち合わせスケジュールなんかをして、その合間に授業している。(笑)取材とか募集活動を延々として、帰るのはフレキシブルですね。20時には閉まるのでMAX20時まで。

21. 学校のもっとこうなったらいいのにという点

呉:答えにくい質問かもしれませんが、先生が持つ学校に対する不満なことってありますか? 伊東先生:不満だらけ。(笑)それは普通のサラリーマンと一緒。ただ思うのは、もしこの仕事にすごく満足して不満がなかったら、たぶん生徒の前に立って、生き生きとした大人、というか理想とする大人の像は見せられないだろうなということは思います。大人も不完全だし、問題を抱えているし、不満もあるしっていうのを見せたいなと思いますね。そういう意味では適度な不満がぽちぽちとあるね、うちの学校は。(笑)

22. 教師になった理由

呉:先生自身がなぜ先生を志したのか、お聞きしたいのですが。 伊東先生:先生になろうと思ったことは、ないです。(笑) 呉:え?

伊東先生:えーっと、教職免許はとらなきゃいけなかった。高校時代に生物部に所属していて、全国でも強い学校で、そこの先生が教職免許だけはとっておけと。(笑)それで、教育実習の時にその顧問の先生にお世話になって、その時には絶対教員になんかならないと。(笑)こんな辛い仕事は無理だと。(笑)ちょうどバブルもはじけて、何かする時に先立つ物が必要でもあって、就職活動をしようと思って動いていたら、顧問の恩師の先生がたまたま「欠員が出たから入らないか」と声をかけてくれて。それで、最初は非常勤講師だったんですよ。それで、学校に行くと、「お前どこか就職先は決まっているのか?」って聞かれたので、「何も決まってません!」って、正直に言ったら、「四月から専任になるか」と言われて。(笑) 呉:なるほど。 伊東先生:それで、決まった後もお金が貯まったら2、3年で辞めようと思っていたんだけど、そうしたら、さっきも言ったやんちゃ坊主たちと苦労して、彼らを卒業させるまではこの学校にいてみたいって思って。それで、やってるうちに自分自身が結婚したり、なにしたりっていう状況で、先立つ物が必要で、ずっと来て、気がついたら40過ぎのおっさんで、そこそこの給料で。ほんとに成り行きです。(笑)こういう話はよく生徒にもします。(笑)世の中うまくいかないよって。(笑)

23. 先生が影響を受けた本

呉:伊東先生が影響を受けた本があれば教えていただきたいのですが。 伊東先生:えー、全然教育とは関係ないんですけど、開高健の「オーパ」っていう、知らないかな?昔、サントリーの宣伝に出ていたダルマみたいなおじさんがいて、釣り好きで、助平で、大人っぽい文章を書く人なんですけど。僕自身が生き物に興味を持ち、魚に興味を持ち、初めてその本を手に取ったときに、いままで読んでいた生ぬるいお話とは違う、なんか、文章的にも、優れているっていう言う方でいいと思うけど、そういう生き方とか面白いなあと。

24. 仕事とプライベート

呉:いろんな先生にインタビューしているんですけど、先生ってオフのときにもシャキってしていなくてはならないと(笑)いう人が多くて、オンオフの区別があまりないんでしょうか。 伊東先生:比較的ないかなあ、特に“生徒募集”をやっているときは休みがとれないので、本当に月に1回取れるかとれないかっていうことなので、そもそも最近オフがないです。(笑) あ〜、でも普通だったら怒って声を荒げなくてはならないときも、冷静にぼくらは対処しなくては。(笑)なにかすると僕らはすぐに浮いてしまうので、そういう意味ではシャキっとしてることが多いと思う。あと“ちっちゃい有名人”のような、よくいうのが、歩いていて誰かが無作為に「先生!」って言ったときに、僕らは振り向き方が世間とは違う。世間は先生って言われた先を見る、先生たちは呼んだ元を見る。だから先生はバレる。(笑)

25. 受験生へ一言メッセージ

呉:取材はこれでおわりになるのですが、最後に保護者、未来の受験生にこの学校の良さを伝えるメッセージをいただけないでしょうか。 伊東先生:本校はとにかく生徒たち自身は自然体にしているので、やっぱりそれを見ていただきたいです。それと同時に、本人が一番生き生きできる学校は、本校に限らずいろいろな学校があるので、そういうところをちゃんと見てほしいと思います。先ほど言っていた偏差値にこだわらず、自分に合う、合わないということはどこできっかけになるかわからないので、やっぱりいろんな学校を見てもらって、後悔してほしくない。完璧な学校はないので、入って自分にとって完璧に、自分自身がしていくんだというくらいの気持ちで、ぜひ学校に来て欲しいなって思いますね。

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