説明会レポート(前編)

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取材日:2017年9月30日 ライター:教育図鑑編集部 田口亮太 開催日時:2017年9月30日(土)14:00~ 天気:晴れ アクセス:JR中央線国立駅より徒歩約15分 JR南武線保谷駅より徒歩約15分 予約:あり 予約方法:桐朋中学高等学校公式HPより 父親の参加:5割程度 両親での参加:5割程度 配布物: 1.学校説明会資料 (本冊子) 2.学校案内 3.スライド資料 4.アンケート用紙 5.学園リーフレット「桐朋へようこそ」

1. 桐朋が目指すもの

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説明者:片岡 哲郎 校長

編集部より:桐朋中学高等学校には「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」とう3つの教育目標があります。その教育目標は、行事、委員会活動、クラブ活動、教育環境(校舎・設備・生徒をサポートする教員)など、あらゆるところで具体的に実践されています。生徒たちは桐朋の6年間でどんな成長を遂げるのか、どんな教育を目指しているのかについて説明がありました。

● 行事を通じて桐朋生が学ぶもの 【運動会】

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もともとは高校生が中心となって文化祭と統一して開催されていた運動会でしたが、1962年から中学生だけで運動会が開催されるようになりました。

【修学旅行】

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1985年からこの旅行で三陸海岸へ赴き、過去の津波災害と防災の工夫について学んできました。田老の町が壊滅的な被害を受けた東日本大震災の年も、当時の中学生と教員の想いを受けて田老訪問は実現しました。

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この年唯一の修学旅行で旅行客の来訪を地元の岩手日報が報じました。するとそれを目にした盛岡市に住むある女性の方からこのようなファクスをいただきました。震災後岩手県への修学旅行をやめる学校が多い中、訪れてくれたことへの感謝や地元への思いが綴られています。修学旅行は本当に心の震えるようなに残るような体験となりました。それから6年半が経ち、田老の町も復興に向けてたくましく動き出しております。震災学習は、ものを見学する段階から人の言葉に耳を澄ます段階に移りつつあります。美しい東北の海や山の風景とともに強く胸に残った言葉などが生徒たちの成長にもつながっていると思います。

【修学旅行委員の活動を通して】

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桐朋中学校では修学旅行について一から考えることを中3生に取り組ませます。上記スライド内の写真は、中学修学旅行のパンフレットなのです。中学のときの修学旅行委員長であったMくんはという生徒はパンフレット編集の面白さに魅せられ、高校では全280ページもある関西修学旅行のページを作りあげました。そのページを少しめくってみます。

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こちらは一見すると何の変哲もないコース案内に見えますが、高校生の京都修学旅行にはやや馴染みの薄い京都・洛北コースを紹介しています。彼はたった2ページを書くために、自発的に京都を下見しています。ガイドブックからの書き写しではなくなく、実際に歩いてコースを練り上げ、交通図を仕上げました。このパンフレットは何かのコピーではなく、自分自身で作り、生み出したものこそ本物なんだというこだわりがあります。このMNくんはやがて東京大学の文科Ⅰ類に進学しましたが、パンフレット編集をした経験が忘れられずに、出版社へ就職しました。今は編集長を務めているそうです。

● 自主性をいかにして育てるか

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このような自主的精神の養成という教育の柱は桐朋教育の顕著な特徴指標です。自主性を育てるということと、自主性に任せるというのは似ているようで実は全く違います。本校の生徒はほかにさまざまな活動に汗を流しております。

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自主的精神の養成のためには、そのすべてにおいて教員がとことんまで彼らとつき合い、彼らの力をしっかり評価する姿勢を持つことが大切です。さらに、多様な個性を持った生徒たちの議論の過程を重視し、一人の意見ではなく「私たち」の意見を引き出すように指導しています。桐朋生は実にエネルギッシュに、さまざまな成果を残しています。こうした教育の姿勢は桐朋の成り立ちと経緯に深く関係しております。

●教育の原点

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桐朋学園の前身は昭和初期に山下亀三郎氏の寄付金によって創設されたが、第一山水中学校、山水高等女学校です。敗戦後は学校の存続すら危ぶまれましたが、1947年に東京都文理科大学・高等師範学校の指導と協力を得て桐朋学園として新しくスタートしました。桐朋の初代校長に就任したのは、当時東京文理科大学の学長であった科学者の務台理作氏です。務台校長は生徒に対し「常に若々しく自発的な探究心を持て」と伝え、また教職員に対しては「学問の薫りがするようなアカデミックな授業をしなさい」と伝えたと言います。 名前の由来・・・東京文理科大学・高等師範学校の校章「五三の桐」に由来して、桐の友だちということで桐朋の名前が生まれました。

●学問の薫りがするアカデミックな授業

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初代校長が言った「学問の薫りがするアカデミックな授業」というのは、どのような授業を指すのでしょうか。 例えば社会科の準備室では3万枚を超える膨大な地形図のコレクションがあります。しかしその最初の学びは、あくまでも自分の目の前のことから考えさせます。スライドの左下にいる生徒は何をしているのでしょうか。

毎年5月下旬に学校近くの武蔵・国分寺周辺で実施される中学1年生の社会科見学で国分寺崖線の高さを計ろうという課題が出されます。この崖はおよそ8mあります。専門の器具を持たない彼らは班ごとに、どうしたらいいかをその場で考えます。写真の生徒は石段の高さから計ることを思いつきました。ほかの方法を思いつく者もいます。そして、必死になって方法を考える生徒たちをを教員たちは見守ります。

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アカデミックな授業というのは、難しいことを難しく教えるものではありません。それは、「知的な驚きによって生徒たちの眼を開くこと」です。一度眼を開かれたら、彼らはときに一人で自らを見つめ、ときには互いに刺激し合いながら主体的な学びを考えていきます。

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本質的・体系的な学問を学ぶことで いかにいきるべきかを考えるものさしを得て 確信を持って未来へと自分を投げかけていける これが桐朋の知性主義です。

●設備環境 創立75周年を迎えるにあたり、校舎の全面的な建て替え事業に取り組んできた桐朋。校舎を立てるにあたっては、まず自分たちがどのような教育をしたいのか、。桐朋の教育とは何か、各教科、各部署で一つひとつ話しながら、長い時間をかけて練り上げてきました。

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ご覧の写真は2013年に竣工した教科教室棟の施設です。1960年代に建てられた校舎には、実験室や中高では珍しい本格的なプラネタリウムを含めて理科の教室が11、美術の教室が4、そして4つの社会科教室がありました。旧校舎時代からの精神を受け継いだこの校舎は、まずもって学びの場、学問を探究する場であるべきだという私たちの思いがありました。その思いを真っ先に具現化したのがこの教科教室棟でした。

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ともに学び合い汗をかく仲間との関係の中で、お互いの個性が共鳴し合うときに彼らが階段を3段飛ばしで駆け上がるような成長を見せることを、体験を通して知っています。男子校という大きなグループの中で考え、人の集まりを形成する男子のさまざまな姿を見てきました。これらは2014年に竣工した共用棟・高校棟の施設です。その後、2015年には中学生の教室がある現中学棟が完成しました。

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昨年の冬には新しい正門と、武蔵野の雑木林を背景とする伸びやかな正門広場が完成し、遂にこの巨大事業が終わりました。武蔵野の自然と調和しながら人間性豊かな心を育成する、新しくも懐かしい学び舎になることでしょう。

●桐朋の課題

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今の桐朋にはいくつかの課題もあります。 その中のひとつが進路指導についてです。生徒たちの様子を見ていますと、進路選択というのは、世相を反映していると感じます。写真は文系・理系の選択についてのデータです。ここ最近は年を追うごとに理系進学希望が増えています。大学生が正規雇用を手にするために奔走していた様子を高校生も感じたのではないでしょうか。ちなみに昨年は医学部の志望者が50名でした。大学進学に教育のゴールを置いているわけではありませんが、私たちはこのところ現役進学率が低下していることを大きな課題として意識し、希望の進路を実現するためにも平常授業のより一層の充実はもとより、最後まで生徒に寄り添う様々な取り組みに注力しています。

●現代を生きる私たちが真摯に受け止めるべき言葉

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皆さんも長田弘さんと言えばよくご存じかと思いますが、長田さんの『最初の質問』という作品には、現代を生きる私たちが真剣に受けとめるべき言葉が書かれています。今未来に向かって心を澄ますとき、心が軋む音が世界のあちこちから聞こえてきます。多様性というのは受容すべきものでしょうか。それとも排除されるものでしょうか。人工知能が決して代行できない人間らしさとは何でしょうか。私たち大人はどのような若い心を育てていくべきでしょうか。

●卒業生が残していった言葉

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上記2枚のスライドの言葉は、第75期生の代表が卒業式に残していった言葉です。彼は桐朋生活を通じて自ら考え、一人でわからなければ仲間の力を借りる、先生に意見があれば遠慮なく言う、そして先生と真摯に向き合う。そうした経験が生きる力となったと書いています。そして新しい時代を作っていくという決意を力強い言葉で締めくくってくれました。

●教員と生徒の信頼関係を象徴する一コマ

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卒業式を自撮り棒で撮影するような世代ではありますけれども、信頼に基づく一体感こそが桐朋の特徴であり、私は彼らの成長に夢をかけたいと思います。桐朋には桐朋の学問と、そして桐朋の仲間との縁があります。時代におもねるのではなく、むしろ時代を貫く気概を持って仲間と取り組んでまいります。皆様にもこの桐朋の輪の中に入っていただきたいと心から願っております。

2. 桐朋の生活

説明者:生活指導部主任  小出  敦先生 内容:施設、学校行事、クラブ活動、多様性と自主性、生徒の生活を支えるチーム 編集部より:東大・一橋を始め最難関校へ多くの進学者を排出する桐朋ですが、生徒たちの学校生活は勉強一色ではありません。学校を訪れ、生徒たちの様子を見たり、先生の話を聞く限り、むしろその逆の印象を受けます。生徒たちは、学校の中で自分の好きな事にとことん打ち込む。例えば、クラブ活動や委員会活動など。桐朋には“好きな事を好きなだけやらせる”ための環境、それを見守る先生方、サポート体制があります。桐朋の生徒達は多様な活動を通して、6年間それぞれの個性を育み卒業していきます。

● 施設紹介

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こちらは本年度全面リニューアルをした学校案内の27ページ、28ページです。このページでは、新校舎が完成したこともあって校内の施設を紹介しています。生徒自らが企画・編集する学校紹介ページを作りたいということで、作成者を募集し、左上に出ている5人の高校生が担当しました。クラスの仲間から意見を集めたり、自分たちで写真を撮ったり、広告会社を訪問してデザイナーの方々の意見を交換させながら作成した、生徒目線のページです。それぞれの生徒たちの思いも込めて、ここに出ている施設のいくつかをこれからご紹介します。

【みや林】

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最初はみや林です。生徒たちが桐朋らしい場所として一番に選んだのが旧校舎時代からずっとあるみや林でした。春夏秋冬、季節とともにみや林は生徒たちに寄り添ってきました。

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みや林はこの国立のある武蔵野にかつて拡がっていた雑木林を保存するという考えのもと、桐朋が維持してきた林です。武蔵野の雑木林というは、江戸時代以降の農民が林から落ち葉を拾ってきて肥料にしたり、木を切って薪にして肥料にして利用してきました。薪として伐採された木は、切株から新しい芽を出し、再び強い木となって成長し、林を形成します。この伐採を行わないと林は衰退してしまいます。雑木林と人間は、ともに助け合って共生してきました。定期的な伐採のできなかったみや林は次第に衰えていきました。そこで弱った木を切り、若木を植える更新工事を過去に何度か行っています。木々の成長はわずかかもしれませんが、長期的な視点をもって雑木林を守り、育てていくという意味で、桐朋の教育のシンボル的な場所となっています。

みや林では貴重な動植物と出会うこともできます。夏休みに入る頃には、林のあちこちでカブトムシやクワガタを見つけることができます。また放課後、クラブ活動でグラウンドに行くとみや林の横にあるサッカーゴールの上にタカ科の鳥、ツミがとまっていたこともあります。春には林の中で、ギンランがひっそりと咲いていたりします。

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【図書館】

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次は図書館です。みや林に隣接する場所にある大きなガラス窓の向こうに緑を見ながら、ゆっくりと読書や勉強に没頭できる場所です。4月に図書館が開館したときには待ちきれずに生徒が入口に殺到しました。生徒たちは自分の読みたい本の購入をリクエストすることができます。リクエストされた本は図書委員会の生徒が購入すべきかどうか検討します。図書館の中はきれいに飾られていて、親しみやすく、くつろげる場所でもあります。

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7月の七夕の笹に、生徒たちが願いごとを書いた短冊を吊るしました。 この写真にある短冊には、「彼女空から降ってこい」と書いてありました。空から降ってこいという表現に切実さを感じます。それ以外にも「先生に没収されたスマホが戻ってきますように」というものもありました。

【2階テラス】

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次に2階のテラスです。共用棟の2階にあたる部分がテラスになっています。大きな空の下で季節の空気を感じることができる空間ですので、ベンチに腰掛けておしゃべりしたり、中学生がお弁当を食べにきたりする憩いの場です。毎年6月に行われる桐朋祭では、この2階テラスに特設ステージができます。高校生と中学生、そして来校されたお客様がこの2階テラスに集まり、一体となって盛り上がります。

【食堂】

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最後に食堂です。約400の座席があり、昼休みには食事をとる中学生や高校生でいっぱいになります。定食やラーメンなどを食べる生徒もいれば、持参したお弁当を持ち込む生徒もいます。食堂にはパン焼き窯があり、焼きたてのパンも販売されています。売れ筋はチョコチップメロンパンとクッキーデニッシュです。季節によって種類を変えて常時15種類以上のパンが提供されています。

※注釈:小出敦先生のお気に入りは、焼きたての揚げパンとのこと。砂糖よりきなこをまぶしているほうが好きなのだそうです。

●多様性と自主性

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生徒たちの学校生活において、私たちが大切にしているのは多様性と自主性です。桐朋には多様な教育活動があります。授業の多様さに加え、学年ごとに独自の企画をするホームルーム活動。生徒主体の学校行事。数多くのクラブや生徒会の活動などが挙げられます。効率を追求し、これさえできればよいとし、結果的に生徒の可能性を限定してしまうような考え方は決していたしません。非効率かもしれませんが、多岐にわたる取り組みを通じて自分のやりたいことを見つけ出し、主体的にかかわり、探究していく。それが多様性と自主性です。これら三つの活動のうち、学校行事とクラブ活動について少し詳しくご説明させていただきます。

【年間行事 中1】

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こちらが桐朋中学1年間の学校行事となります。一学期には遠足、桐朋祭、スポーツ大会、さらには林間学校。二学期の運動会、修学旅行、クラスの日(どこに行くのかなど自由に決められる中1、中2の行事)と続きます。これら多様な行事にはすべて委員がいて、行事の企画・運営に主体的にかかわっています。「行事は生徒が作る」というのが桐朋のこだわりです。その中から、この夏中学2年生で実施されました、林間学校についてご説明させていただきます。

【林間学校】

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群馬・福島・新潟の3県にまたがる、尾瀬ヶ原の湿原を訪れ、貴重な自然にふれるとともに、クラスや学年の親交を深めます。50年以上にわたって続けられてきた桐朋の伝統の行事です。林間学校実施前の一学期には事前学習を行います。生物や地理の授業、さらに林間委員の研究発表を通して尾瀬に関する知識や問題意識を身につけます。

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この写真は、各クラス3名ずつの林間委員がパワーポイントのスライドを使ってこのホールで発表したときの様子です。

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7月17日の林間学校初日は学校を出発してバスで尾瀬ヶ原入山口がある群馬県片品村へ向かいました。その途中で地元の尾瀬高校との学習会を実施しました。尾瀬高校には自然環境科という特殊な学科があり、尾瀬について本格的な調査や研究を行っています。その高校生たちによる研究発表や、彼らとの質疑応答を通して尾瀬ヶ原への理解をさらに深めました。

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翌18日、朝の天気予報では十分に入山可能な天候でしたが、尾瀬沼手前の峠で突然の雷雨になりました。本来ならば、尾瀬ヶ原の山小屋に宿泊する予定でしたが、生徒の安全を第一に考え、もとの宿舎に引き返しました。山小屋に辿りつくことができなかったのは初めてのことです。尾瀬ヶ原を目の前に引き返したことで、落胆する生徒もいましたが、夜のミーティングで林間委員会から状況を説明し、翌日の行程変更についてもスムーズに対応をすることができました。

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三日目は一転して朝から快晴の登山日和となり、短縮ルートで尾瀬ヶ原に入りました。専門のガイドが生徒10名ほどのグループを率いて、適宜説明しながら湿原を周るガイドツアーを実施しました。満開のニッコウキスゲをカメラに収める生徒の姿がとても印象的でした。この日のお昼のお弁当は、前日の目的地だった弥四郎小屋の前で食べました。

※注釈:弥四郎小屋・・・創立者の橘 弥四郎が尾瀬ヶ原の景観と出会ったのは明治21年の夏。藪をこぎわけようやくたどり着いた尾瀬ヶ原の美しさに魅せられ、昭和7年に自ら構築した山小屋。

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山小屋の生活を経験することも、この林間学校の目的の一つです。山小屋にはテレビもありませんし、携帯の電波も届きません。部屋でみんなと語ることしかできません。夜9時にはすべての灯りが消えます。石鹸やシャンプーは自然破壊につながるため、入浴は原則できません。食事も狭い食堂で、生徒が入れ替わりながら短時間で食べきらなくてはなりません。自然とともに過ごすということが少しわかります。残念ながら今回は山小屋に宿泊することはできませんでしたが、尾瀬ヶ原での貴重な体験をそれぞれまとめ、林間学校は終了しました。 【クラブ活動】

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続いてクラブ活動です。中学生のクラブ加入率はおよそ90%。ほとんどの生徒がクラブに加入しています。勉強との両立を重視して、適切な活動日数や時間を設定していますが、各種大会で多くの優れた成果を残しております。運動部19、文化部17、同好会1、計37の多様なクラブがあり、必ずやりたいクラブが見つかるはずです。ここでは3つのクラブについてご紹介します。 【卓球部】

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最初は卓球部です。桐朋中学校で現在も好成績を残しているクラブです。この夏休みも3年連続関東大会に出場し、さらに東京都を代表してジュニアスポーツアジア交流大会の出場権を獲得しました。香港、台北、バンコクなど、アジア14都市のチームと交流戦を行いました。卓球部の強さの秘訣は高校生が中学生を指導していることにあります。高校生は中学生を強化するため、毎日中学生の練習相手をします。レベルの高い高校生との対戦を通じて中学生は上達します。そして自分が高校生になったときに、再び中学生を対戦相手に指名するという伝統が受け継がれているのです。交流大会に出場した5人の中学生は、全員入部のとき卓球の初心者でした。 【野球部】

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続いて野球部です。桐朋には陸上トラックやサッカー場とは別に、両翼90m弱の広さを持つ野球場が独立してあります。中1は最初、顧問から基本的な技術指導を受けます。その後少しずつ活動日が増えていき、三学期には中1だけの大会に出場します。高校では日曜日を含めて週5日の厳しい練習がありますが、グラウンドに掲げられた文武一道のスローガンのもと、野球と勉強の両立を目指しています。その成果として、現在東京大学の野球部に桐朋の卒業生が6人在籍(主将、副将は桐朋OB)しています。

※文武一道・・・文も武もつき詰めれば一つの道。“空気投げ”を編み出した柔道家・三船久蔵十段が残した言葉だと言われています。

【鉄道研究部】

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最後に鉄道研究部、通称“てっけん”です。桐朋祭で鉄道模型を展示したりクイズを出したりします。毎年夏休みには3泊の合宿を行います。目的地や移動ルートはすべて部員たち自ら計画します。今年の夏は青春18きっぷを使って四国を周りました。合宿期間の1日は列車に乗る乗車班と、写真を撮る撮影班に分かれて活動します。合宿の夜には宿舎の部屋に部員全員が集まり、反省会が行われます。中には「貴重な鉄道の旅なのに、乗車中に居眠りをしている人がいました」という厳しい意見が出されることもあります。この厳しい意見は、お昼の駅弁を食べておなかがいっぱいになった引率の教員のことだったりします(笑)。生徒の自主性はときに、教員に対しても容赦ありません。

●生徒の生活を支えるチーム

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これまでに紹介した多様な取り組みを通じて生徒たちは成長していきます。しかしすべてが順調にいくとは限りません。桐朋の学校生活も社会の一部です。いじめを始めとしたトラブルも発生します。問題はそうしたトラブルを生徒が一人で抱え込んでしまうことです。桐朋では生徒の生活を支えるために、さまざまな立場の大人が一つのチームを作って支援します。担任、学年教員と保護者はもちろん、臨床心理士の資格を持つ4人のカウンセラー、そしてそのような人たちをつなぎ合わせるコーディネーターと呼ばれる教員がいます。生徒を真ん中に置いて、これらの人々がチームを作って問題の解決にあたります。 【6年間の桐朋生活】

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こちらは、入学したばかりのとある7人の中学1年生の写真です。彼らは6年間多様な取り組みを経験し、その中から自分の青春になるものを見つけ出しました。高校3年の卒業直前に、同じ7人に声をかけました。彼らは多彩な色をまとって卒業していきました。

3. 桐朋の学び

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説明者:教務主任  栗原 忍先生

内容:授業の様子、高校生への進路指導、入試・出願などについて

編集部より:桐朋ではほとんどの教科にオリジナル教科書が存在します。「学問の薫りがするアカデミックな授業」を行い、「知的な驚きによって生徒たちの眼を開く」という創立者の考えが具現化さています。また、教育理念を具体的に実践する場という視点で校舎や教室が設計されています。各教科の取り組みや、旧校舎から受け継がれる古き良き面影を残しつつ、現代的にアレンジされた桐朋の教育環境などについて、説明がありました。

【数学】

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本校の数学の授業は代数と幾何の二つに分けて行います。代数では、方程式や関数などの計算について、幾何では図形や証明について学んでいきます。

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代数・幾何のどちらも桐朋の教員が編纂した教科書を使って授業を行います。

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特徴は幾何の授業に強く表れています。こちらは中学3年生の幾何の授業が始まる前の様子です。中学生の全教室に大きな黒板が2面あります。オリジナル教科書の問題を事前に解き、その証明を板書している様子です。有名なピタゴラスの定理では何通りもの証明がありますが、今この二つの写真には3通りの証明が板書されています。大事なことは問題が解けるということだけではなく、発想、論理、そしてその表現力も重視しているため、考えて板書したものに対して改めて授業の中で一緒に考えていきます。

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こちらは定規とコンパスだけを使って√3、√5の長さの線を書くという課題に取り組んでいる生徒たちです。√3というのは2回掛けると3になる長さとなりますが、その作図をどうやってするのかを考えていきます。

「先生、別解があります!」

静けさを破る生徒の声はとてもうれしいものです。

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代数の授業の様子です。中1代数、一次方程式、A級問題集、応用問題集を解いて板書している様子です。演習用としてA級問題集を作成・出版しています。計算力はこのような演習を繰り返して高めています。

※A級中学数学問題集・・・説明者の栗原忍先生を含め桐朋中学高等学校の教員6名の著者により編纂された数学問題集。

【国語】

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次は国語です。国語・書写という授業のほかに、文法や作文について学ぶ教科があり、中1ではそれを表現、中2では文法作文、略して文作と呼んでおります。

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こちらは、中1国語の発表の場面です。宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』の一節をグループで読みこんで、生徒それぞれが教師になったように場面ごとの展開を本格的に表現、用語の説明などをしていきます。自分たちが担当する一節については誰よりも詳しく調べ、説明ができるくらい読みこんでみんなで検討します。発表用のレジュメも作り、みんなでプリントを作って全員に配布して授業を進めていきます。

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中2文作では中3で学ぶ古典文法につなげるように、身近な古典である百人一首を暗唱します。ただ中学2年生、暗唱するだけではなくて、一クラスの中で予選会を開いて何枚取れたかということで、ほかのクラスの同じ枚数だけ取れたレベルの友達と体育館に合宿用の畳を敷いて、競技として取り組みました。当時映画でちょっと流行っていましたので、生徒は一生懸命取り組んだということです。上の句は6人の担任が順に詠んでいったとのことです。

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中3の古典入門、東北修学旅行のある二学期には東北に縁のある文学について学びます。このテキストにはもちろん、『奥の細道』も収められており、生徒はあの一節を暗唱できるようになっています。「暗唱できるようにならないと連れて行かない!」ということで、暗唱を猛練習し、旅行に向かっていきます。

【英語】

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次は英語です。本校の英語はいわゆる英語の授業が英語総合という名称で、そのほかにも中2・中3では英語演習という時間が週2時間ずつあります。

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英語演習の授業をご紹介します。中2の英語演習の週1時間は英会話演習ということになります。クラスを二つに分割して、それぞれ二人ずつの外国人講師が担当します。会話が弾むように、小さな教室、英語A教室、またはB教室で行います。

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中2の英語演習のもう1時間は辞書を引きながら、英語の語句を正確に知る授業です。テキストはオリジナルで、名前は『Dictionary Worm』、辞書の虫という意味だそうです。こちらの授業は英会話とは打って変わって、辞書をめくる音が聞こえてくる、そのような授業となっています。

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中3の英語演習週2時間、こちらは英語で作文して、みんなの前で英語でプレゼンテーションをするという授業です。こちらもクラスを二つに分けて行う授業となっています。テキストを参考にエッセイを書き教員の添削を受けて、またペアワーク、先ほど映った英語の教室ですが、二人掛けになっています。二人でお互いにペアで相談し、お互いにチェックをして原稿を完成させます。そしてそれをもとに、みんなの前で英語でスピーチとなります。

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このように英語を学び、その実践として中3の希望者を対象に毎年夏休み、60名弱が国内のBritish Hillsの施設に行って2泊3日英語漬けの日々を過ごします。今年も56名が希望し、事前研修を受けて夏休みに行ってきました。日本語使用禁止の中で英語漬けになります。本校ホームページの桐朋トゥデイの中に参加した生徒の感想がありますので、ぜひ読んでいただけたらと思います。やはり英語で書かれています。2年に一度、やはり希望者対象ではありますが、イギリスのケンビリッジ大学と提携した語学研修旅行があります。

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昨年度に引き続きNHKラジオ基礎英語1の講師は本校教諭の田中敦英が担っています。本校の中学1年生の基礎英語の視聴率はもちろん100%です。

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さて、現在本校には英語ネイティブの講師がジョン先生、ジョー先生に加えて、ALT(アシスタント・ランゲージティーチャー)としてマックス先生とマシュー先生の二人がいます。明るくて気さくな二人は生徒にとても人気があります。またオフィスアワーといって放課後に二人が英語の勉強を見てくれる日もあります。スライドは二人が企画したハロウィンやクリスマス会の様子です。

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桐朋では各教科独自に教科書や問題集を編纂し、それを授業で使用しています。このようなテキストを私たちは自主教材と呼んでいますが、オリジナルテキスト・問題集は全教科で30種類ほどになります。 【補修・追試】

数学

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英語

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次は補習、追試についてです。代数では授業中に10分間の小テストを週1回くらいのペースで行います。不合格になりますと昼休みや放課後に個別指導となります。中学教室の前にはこのようなスペースがるので、補習や追試ができます。また定期試験で基準点以下となりますと、英語と数学では補習や追試となります。期末テストの補習・追試となりますと、夏休み冬休みに三日ほど生徒には登校してもらいます。また補習制度を改革しました。点数アップのためだけではなく、授業を引っ張っていく生徒たちの補習も長期休暇中に行われます。今年は100名近くの中学3年生たちが、標準またはハイレベルの補習に参加しました。

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英語では中間テストで基準点以下となりますと、1週間の放課後補習が待っています。この補習対象になった生徒には、「もう期末試験で失敗するなよ」というメッセージも込めて、期末試験直前にも1週間の放課後補習が待っています。英語の教室ではコンピュータシステムを使って4技能の指導ができるようになっています。 【設備・環境】

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次は施設についてです。数学教室、英語教室といった教科の名前がついた教室のほとんどにプロジェクター、ブルーレイディスク再生機があります。そして私たちのパソコンと接続可能です。 社会科A教室・B教室では、プロジェクターが教室の後ろ側をに向いています。また生徒のイスもちょっといいもので、回転式のものになっています。

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これは効果的にICTを活用する社会科特有の表れであり、なぜ効果的な使い方をするのかと言えば、それは本当に大事なことは板書で伝えるので黒大事なことは板書で伝えるので黒板をフルに活用するためです。夏休みに工事をして、高校のすべてのホームルーム教室に電子黒板機能付きのプロジェクターとスクリーンを設置しました。プロジェクターからはパソコン、タブレット、カメラなどのあらゆるデバイスからのデータを取り込むことができます。スクリーンを広げればデジタル方式で、スクリーンをしまえばこれまで通りの授業ができるようになっています。

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次は理科です。スライドは中3化学の実験の様子です。炭酸水素ナトリウムと二酸化炭素が分離するという実験です。理科は実験実習をとても大事にしています。例えば、この中3化学。年間の授業時数の約3分の1が実験です。物理・化学・生物それぞれ実験室が2教室ずつあります。

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地学には地学教室とプラネタリウムがあります。また地学部専用の施設として、天文台と太陽観測所もあります。

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次は家庭科室です。中2で調理実習を3回ほど行います。今年の1回目はピザ作りでした。ピザの生地、トマトソースも一から作ります。2回目は白身魚の煮付け、3回目は自分で作るお弁当というテーマで行います。有名俳優の影響もあってなのか生徒はとても調理に真剣に取り組んでくれます。

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次は体育です。体育の武道の授業では柔道を行っています。学校体育での柔道、新聞などで心配な話題が挙がっておりますが、安心してください。169畳のスプリング式専用道場で行いますので、けがをしたという話は一度も聞いたことがありません。また本校の体育科の教員は全員有段者、つまり黒帯をつけています。 【進路指導】

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次は進路指導についてです。本校の進路指導は、高1のときは広く世の中に目を向けてもらい、高2になるとそのときに自分が何を学べばよいのかを考え、そして高3になり具体的に進路を決めるという流れになります。高2から高3では進路指導のためクラスの担任は変わりません。

具体的には、高1では卒業後10年経ったOBを招いて在校生・卒業生懇親会、略して在卒懇と呼びますが、在卒懇を開き、各クラス6名ぐらいOBを招いて職業について話をしてもらいます。職業選択、大学進学など高校生のときに考えていたことなどを在校生に語ってくれていました。

今年の6月に高1の在卒懇で行われました。大手企業、大学の講師をしている者、それから学校の先生になった者、また公務員などさまざまな分野のOBが来てくれました。

高2の在卒懇では大学などで研究職に就いているOBを招きます。大学とは何か、学問とは何かを話してもらいます。

説明会レポート(前編)156

スライドにあるような大学の研究者の方々が講演を土曜日の3時間目、4時間目の2回ずつ行ってくれました。生徒たちはこのように学んでいって、学問を志し大学へ進学していきます。

説明会レポート(前編)158

スライドは過去5年間の現役生の進学者数の棒グラフになっています。

説明会レポート(前編)160

医学を志す生徒も多いです。どの学年も9月生活実態調査というアンケートを取るのですが、その中で将来の目標を聞きます。どの学年も50人を超える生徒が医学部、医者を志望しています。こちらは大学医学部への過去5年間、現役・浪人を合わせた合格者数のグラフです。

説明会レポート(前編)162

昨年度から中高ともに中間テスト/期末テストという、定期試験以外の復習テスト、実力テスト、模擬試験と私たちが呼んでいる試験のタイミング、難易度、外部に委託しているものについては外部委託業者を見直し、改めて実施しました。私たちが作り評価するテストと、外部委託業者テストの二本柱としています。センター試験に代わる入試の内容も明らかになってきました。また中3から高2では授業時間の中で、英語のテストGTECを受験しています。GTECは簡単に言いますと、ベネッセの展開する中高生向けのTOEIC。英語実用試験ということになります。70万人以上が利用しているということで、全国レベルでの読む・聞く・書く。そして大学入試も変わりますので、四つ目の話すを加えた4技能の到達度を確認していきます。 【中学入試について】

説明会レポート(前編)164

最後に入試の出願、合格発表についてお話します。今年度も2月1日、2月2日に入試を行います。募集人数は110名、70名になります。2月1日については2月2日も本校に出願されている児童が多くいらっしゃいますので、2月1日の第1回目についてはその日のうちにインターネットで合格発表をします。ネットでの合格発表は今年から個別に合否を発表するようにします。試験番号とパスワードを入力すると、合否がわかるようになります。

説明会レポート(前編)166

昨年度からインターネットによる出願を始めました。この学校説明会の予約と同じで三菱総研DCSのmirai compassでの出願とさせていただいております。本校ではパソコンが苦手な方のために事務窓口でも入力作業ができるように準備をしております。

説明会レポート(前編)168

簡単にウェブ出願についてお話します。要項やホームページに詳しく記載されていますので、今日は要点だけお話します。出願情報を入力し、クレジットカードかコンビニで受験料をお支払いただくと、決済となり、受験番号が確定します。そして受験票が印刷できるようになります。本校では、学校提出用の受験票のほうに写真を貼っていただいたものを簡易書留でご郵送いただきます。なお、証明写真はデジタル用の画像をパソコンではめ込むことができます。スライドに映っている宛名シートのバーコードを読み取ると、皆さんに到着しましたというメールを送れるようになります。

これから入学してくる、そして在校生の彼らそれぞれの人生を賭けるものを見つけてほしいと考えて教育活動を行っています。

4. 説明会レポート(後編)

後編では、学校説明会終了後の見学した「オリジナル教材の展示」「生物部による活動」を紹介しています。

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