わかった気にはさせない。

0
0
この記事に関連するタグ
教育理念

その昔、もう少し正確に言えば、 割と大きな塾に勤め始めたばかりの、今よりもだいぶ若かりし時、 その塾のエライ人から「お金をもらっている以上、わかって帰らせないと苦情が来る。 もちろん、全員が全員(授業内容を)わかるわけないから、 そういう場合はわかった気にさせて帰らせるのも、先生としてのテクニックの1つだよ。」 と、御忠告をいただいた。

だが、難しい問題を丁寧に解説してあげて、 「なぁんだ、そういうことか。」とわかった気にさせても、 それって本当に身になっているのかな?と、逆に不安に思う。 それで、若気の至りで反論した。 「何でもわかりやすく解説して、本当に子どもが自分でできるようになりますか?」と。

そうしたら、「なる人もいるんじゃない?」という素っ気ない返事と、続けて 「できるようになるかどうかよりも、あの塾の授業はわかりやすい と思ってもらえる方がいい。」という答えが返ってきた。

まぁ、そういうことの積み重ねがあって、僕はそこの塾を数年で辞めてしまい、 紆余曲折あった後、サーパスという個人塾の立ち上げに関わったのだが、 自分たちでこだわって作った塾だからこそ、 そういう、見た目を取り繕って人を集めるような塾にはしたくない、と思っている。

ちょっと乱暴に言えば、 「わかった気にだけさせて帰らせる」よりは、 「わからないまま帰らせる」方が、良いのではないかとさえ思う。 気持ち悪いものが、お互いの中に残る分、 「なんとかしなくては」という気持ちがむしろ芽生えるのではないか。

もちろん、大手塾のような、なかなか質問させてもらえないところでは、 この手法を取るのは難しい。 だが、ここは個人塾の強みである。 「わからなかった」ところを「わかる」ようにするために、質問をすればいい。 授業中でも、授業直後でも、翌日以降でも。

自分でできるようになって欲しい。 苦情が怖くて個人塾なんてやってられるか! と息巻く自分と、波風立てたくない自分がいる。

コメント

コメント欄をみんなで楽しく利用できるよう、以下の注意事項をお守り下さい。

(1)公序良俗、法令違反行為を目的とした利用

(2)犯罪的行為にむすびつく利用

(3)他者の著作権、財産、プライバシーを侵害しないこと

(4)他者を誹謗、中傷しないこと

(5)営利目的の商業行為

教育図鑑コメントポリシー

関連記事
閉じる

会員になりますと引き続きご利用いただけます(すべて無料)

登録は簡単!メールアドレスとニックネーム、お住まい地域の郵便番号、現在の職業(学年)の登録のみ!

登録
登録
pdf
資料
question mark
質問
ブックマーク