10年以上前に、日能研のトップである小島氏が 「東大に入るにはまず遺伝だ。自分の家系に東大卒が一人もいなければあきらめろ。 合否を決める要因の80%は遺伝、残り20%は突然変異かまぐれだ。」 と、このようなことをテレビでおっしゃった。あまりに衝撃すぎる発言だったので、 当然のように物議を醸し、よくも悪くも世間を賑わせた。 「塾の先生にこんなことを言われたら身も蓋もない!」「暴言だ!」 と、反対意見も多く飛び交った。
もし勉強(のできるできないの根拠)の大半が遺伝で片づけられるとしたら、 やっていてこんなにやりがいのないことはないが、 「子どもの頃、親に勉強しなさい!と言われた経験がない」東大生とか、 「勉強しなさい!と言ったことがない」東大生の親とか、そういった話はよく耳にする。 もちろん、『勉強しなさい!と言わない=東大に入れる』 わけではないから、勉強しなさいと言わなければいいというものでもないが、 勉強を勉強とも思わずにやれる環境を整えられるのなら、本当に素晴らしいと思う。
また、小島氏は「帰国便利帳」という帰国子女のための雑誌の中でこんな話もされている。 『大人はよく「今の若い人たちは……」ということを言いますが、 子ども自身は基本的に変わっていないと思います。 小学生くらいまでは純粋無垢のままです。 変わったのは子どもたちの周囲にいる大人や社会といった“環境”であると思っています。 子どもたちは大人がつくった環境の中でさまざまなものを吸収し、成長するわけです。 ですから、これから日本が考えていかなければならないのは、 大人がどういう環境をつくるのかということなのではないでしょうか。
最近よく、「コミュニケーション能力のない若者が多い」と聞きます。 でもそれは、仕方のないことなんです。 だって、彼らはコミュニケーションの実体験が非常に少ないんですから。 核家族化や少子化が進んだことによって、 祖父母・兄弟・姉妹といった身内とのコミュニケーションが減りました。 そして、携帯電話をひとり一台持つ時代となり、 かけたい相手にダイレクトにつながるおかげで、 「○○さんいらっしゃいますか」という会話の経験すらない。 彼らにコミュニケーション能力がないのは当然ですよね。 そして、こういった社会環境をつくったのはほかでもない、大人です。』
固定電話を引かない家庭は随分前から多くなっているが、 最近は、企業でも固定電話を置かないところが増えているときく。 自分以外の人宛てにかかってきた電話の取次ぎなどしたことが無い! と、これが当たり前の世界になってくるのだとしたら、 私なんぞ、浦島太郎のような存在になりつつある。 彼女の家に電話して、相手のお父さんが電話を取ってしまった時の緊張感… そのうち、こんな話は誰にも通じなくなる。
話が脇道に逸れてしまったが、冒頭の「80%は…」という発言の真意は、 小島氏の発言を好意的に捉えるなら、「勉強しなさい!」と子どもに言うより先に 大人がやらなければいけないことがあるでしょう! と、そういうことだったのかもしれない。
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