取材日:2020年9月7日 インタビュイー:前田先生 インタビュアー:教育図鑑 石井
全寮制で教職員が身近にいるため塾に行く生徒はほとんどいません。したがって学びの基本スタイルは、自学自習です。そこで大切なのが、「非認知能力」です。自己認識能力や忍耐力や集中力などのことで、ハウスでの指導や承認体験の充実(友人体験など)によってそれが高まれば、認知能力が上がっていきます。非認知能力と認知能力(学力)の両方が上がっていくのは全寮制ならではといえるのではないでしょうか。本校が掲げる「人間力」とはこの二つの力の合力のことです。
また、「もう一つ進学校を新たに作っても仕方ない」という海陽の創立当初からの想いがあります。全寮制の海陽学園ならではの卒業生を輩出していくことが必要で、全国からいろいろな生徒が集まっているので、6年後さらには大学卒業後にも海陽での体験を共有する仲間たちが志を掲げた「緩やかな絆」を作ってほしいと願っています。私自身は長い教員歴の中でも全寮制は初めてですが、海陽には本当にいろんな子がいるなと感じており、そこがいいと思います。数年前ある生徒が朝礼で、「食事の前に手を合わせていただきます、を言いませんか?」と壇上に立って発言しました。誰に言われたのでもなく、700人の全校生徒の前で自分の意見を自然と言える姿を見て「この学校はすごい!」と驚きました。またそれを聞いた生徒たちもこうった発言に対して違和感なく賛同して、やり始めます。もちろんやらない子もいますが、それはそれでいいと感じます。大事なことは自由な精神です。「善い」ということも強制すれば「よろしくない」ものになる危険性があることに気づいているようで、本校には自分で考えて動くことを尊重する文化があります。海陽の寮生活は厳しいという意見もありますが、決して厳しいとは思っていません。むしろ最近は少し緩すぎるかな?と感じることもあります。自分たちで居心地のいい空間をどうやって作っていくかということを考えながら生活していくことも、大事な学びだと思います。
私は国語の教員ですが、文章を見たら大体分かります。小説の読解で「冴え」というものがあるんです。この「冴え」というのはなかなか身につくものではなく、東大に行く生徒の中でコアになる子はそういうものがあります。でも、今は東大も努力で入れる時代になってきたと思うんです。昔は「冴え」のある子達しか受かっていなかったと思うんです。学力低下もあると思うんですが、努力で入れるようになってきたので、中1の時に思いも及ばなかった子が、東大に入ったりもします。生徒に希望を持たせてあげることも教員の仕事だと思っています。
はい。海陽の生徒は、他の生徒の素晴らしいところを自然と認めることができています。 低学年の時は、自分の非や友達を認めることができなくても、海陽の教室・ハウスでの生活の中で、自分の非を認め、友達の良いところを素直に認めることができる人間へと成長していくところも、海陽学園の特長だと思います。
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