「子どもが学校にいきたくないといって休んでるの……」ママ友からそんな言葉を聞くことがここ数年で多くなりました。
首都圏私立の女子中学に通っている娘の学校にも、クラスに1人以上は学校にしばらく来ていないクラスメイトがいるとのこと。実際、中学2年生から3年生に上がる時点で、一人学校を去ることになってしまったそうです。 「大変な中学受験を乗り越えた第一志望の子」が集まる学校でさえ、そんな状態になってしまっているという事実に軽くショックを覚えていますが、ちょうど受験期から瞬く間に広がってしまった「コロナ禍」が大きく影響を与えているのは、間違いありません。
入学当初からは、数か月にわたるオンライン授業のみ、コロナ禍で通常親睦を深めるために行われていたイベントがほとんどなくなり、お弁当も一緒にたべたことがない、クラスメイトさえマスクの下の顔をほとんど見たことが無い、という状況な上、部活動も感染状況に左右され続けています。
そして今「ようやく通常の学校生活が送れるかも!」と思った矢先の感染の再拡大により、夏休み中の部活の合宿がなくなったりして「やっとかかった梯子を外されてしまった」ような気持ちになっている子どもも多いことでしょう。
親世代が築いてきたような人間関係・交友関係が難しくなっている中で、「友人関係のいざこざ」「成績不振による悩み」、または体調不良などにより学校にいけなくなってしまった子どもたちが明らかに増えています。そしてそういった子どもの状況を受け入れてあげられるのは親にとってもたやすいことではありません。そして、多くの思春期の子どもたちが「家」「家族」を「自分の居場所ではない」と感じています。
「自分の居場所がない」という感情は、思春期を過ぎた大人の多くが経験してきたのではないでしょうか。 そしてそれは、新しい友達・新しい担任、などといった「新しい人間関係の構築」の出現によってなんとなく解消されて来たはずですが、成長期の自然な「人間関係の形成」が難しい今、「自分の居場所」を見つけられずに悩む子どもたちが増えています。
学校にいけなくなってしまった子どもたちは家族、学校以外で「人と話す機会」を求めています。 子どもが学校にいけなくなってしまった、と悩んでいるのならば、学校・家庭以外の第三の居場所である「サードプレイス」を、探してみてはいかがでしょうか。
このブログでは、「不登校児」が増加している現状と理由、そして学校に行けなくなってしまった子どもにとっての「サードプレイスコミュニティ」には具体的にどんなものがあるかを紹介し、 子ども一人ひとりに合った「居場所探し」を考えていきます。
なんとなく、学校に行けなくなっている子が多いな……という印象は持っていましたが、実際コロナ禍になって不登校になってしまった子がどの程度増えているのでしょうか。 「不登校とは無縁だったような子どもが、ある日突然、学校に行けなくなる」といったケースが多いといわれていますが、その背景にはなにがあるのでしょうか。
文部省が実施した令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、令和2年度の国公私立の小・中学校における不登校児童生徒数は 196,127 人。
令和元年度調査から 14,855 人(8.2%)増加しており、在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は 2.0%(前年度1.9%)となりました。この数字には「病気や経済的な理由、新型コロナウイルス感染回避」のための欠席の生徒は含まれていません。 約 55% の不登校児童生徒が 90 日以上の長期で欠席しており、増加の理由としてコロナ禍における生活環境・生活リズムの変化、そして学校生活における制限の中で、子どもの「学習意欲」「登校意欲」が低下したためと考えられています。
そして、この調査結果でもっとも問題だとされたのはコロナ禍における児童生徒の自殺者数の増加です。 コロナ禍以前(令和元年)の小学生・中学生・高校生の年間の自殺者数が399名だったのに対し、令和2年は100人増の499名。平成30年⇒令和元年の増加に対して、3倍以上の増加率となってしまいました。 ※参考:文部科学省「児童生徒の自殺対策について」
令和2年の児童生徒の自殺の原因・動機としてあげられた上位10項目は以下の通りです。
1.進路に関する悩み(前年度2位) 2.学業不振(前年度1位) 3.親子関係の不和(前年度3位) 4.病気の悩み・影響(その他の精神疾患)(前年度5位) 5.病気の悩み・影響(うつ病)(前年度8位) 6.家族からのしつけ・叱責(前年度4位) 7.その他学友との不和(前年度6位) 8.入試に関する悩み(前年度7位) 9.失恋(前年度9位) 10.その他家族関係の不和(前年度11位)
自殺の動機として多いのはやはり、「学校」「家庭」問題。 「学校にいけなくなってしまう」ことが子どもの自殺願望に発展することがないよう、対策をしていくことが課題として挙げられています。
※本調査において「不登校児童生徒」とは、年度間に 30日以上登校しなかった長期欠席児童生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、病気や経済的理由、新型コロナウイルスの感染回避によるものを除く)をいう。
「さまざまなストレスが複合的に重なってしまったとき、小さなきっかけで限界を超えてしまい、ある日、突然学校にいけなくなる」というのが不登校の始まりといわれています。 その「ほんのわずかなきっかけ」の大きな要因となってしまっているのが、「人間関係」です。
出会った当初は目すら合わせることができなかったのが、スムーズに会話できるようになり、次第に言葉だけなく表情でその人の「考え」や「気分」を感じ取れるようになり、物理的な距離が近くなることで、その人の醸し出す「匂い」「空気」を感じ、生理的な「好き/嫌い」という感覚が芽生えて、より関係が近くなったり、遠くなったり……
現在中3の娘をみていると、そういった私たち大人が当たり前のように繰り返し経験してきた友達作りのプロセスを「コロナ禍」「マスク生活」によって奪われてしまっていると感じます。
娘が学校から持ち帰る「イライラ」の中には、友人関係の「誤解」が要因であるものが多いと、最近感じ始めました。物理的な距離が必然的に遠くなってしまっていることで、「本当の自分」を知ってもらうこと、友人の本来の姿を理解するチャンスが少なく、多くの人間関係の「誤解」が生じやすくなっていることは、不登校の子が増加する要因のひとつになっているのではないでしょうか。
休校から始まった入学当初なかなか「リアル」で会う機会に恵まれ無かったことから、今まで以上にSNSでの結びつきが強くなった今の中・高生。たとえ通学ができない状況でも、クラスメイトや友人とオンラインでSNSやLINEなどを通じて交流できるということは大きなメリットでした。しかし、教室で共に過ごす、リアルの友人関係以上に、SNS上では「けんか」や「いじめ」が起きやすいとも言えます。
友人関係のいざこざが原因での不登校は、思春期にはよくあるケースですが、学校を欠席中・休校時間中・長期休暇中もSNSでずっとつながり続けている現状では、「一時、学校にいきたくなくなった要因である人間関係を断つ」という事すら難しくなってしまうはず。
不登校の要因である張本人とは遮断されていたとしても、その周辺の人間関係を断つ勇気が出ずに、別ルートからその子についてのうわさが耳に入ってしまうなど、SNS等で相手・自分の状況が見えやすくなってしまうことで、精神的に袋小路の状態になってしまい、学校に行けない期間が長引いてしまうこともあるでしょう。
さらに、コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで、家族間の人間関係にも変化が生じやすくなっているとも言えます。 家族の多くが自宅でのリモート勤務やリモート授業になってしまったことで、生活態度などを親に叱られることが増えたり、顔を合わせる時間が増えたことで喧嘩が多くなってしまい、 学校にも、家にも「居場所がない」と感じたり、逃げ場を失ってしまった子どもが増えているのではないでしょうか。
アメリカの社会学者、レオ・オルデンバーグは著書「The Great Good Place」で、
「―都市部には生活上欠かせない家(ファーストプレイス)、職場や学校(セカンドプレイス)のほかに、居心地の良い第三の場所(サードプレイス)が必要である。ゆとり、活気、コミュニティがあり、市民の憩いの場として毎日利用するフランスやイタリアのコーヒーハウスのように、社交場として交流を深めたり世間の情報について交換を行ったりする場所、出会いや良好な人間関係を築く場所である。」としています。
一般的には、家・学校や職場以外の「サードプレイス」として「スターバックス」などのカフェが思い浮かびますが、学校にいけなくなってしまった子どもたちにとって「サードプレイス」となっているコミュニティにはどんなものがあるのでしょうか。
不登校になった場合に利用できる「コミュニティ」=「居場所」として、下記のようなものがあります。
◆フリースクール◆ フリースクールとは、個人や民間企業、NPO法人が運営している、おもに不登校の子や、学習障害や発達障害のある子どもが、学校以外で学んだり友達と過ごしたりできる居場所のこと。決まったカリキュラムがなく、様々な年齢・特性を持った子供が集まって授業を受けたり、遊んだりしています。 義務教育期間中の小・中学校は地元の小中学校に籍を置いたままフリースクールを利用することになります。フリースクールへの登校が在籍する学校の「出席扱い」になるため、フリースクールに通いながら学校を卒業できる可能性も(在籍校の校長が認めた場合)。費用や支援内容は、学校によって異なります。 フリースクールの中には、
・発達障害等で不登校になった子供を支援するスクール ・不登校の子の学校復帰を目標にするスクール ・「学校復帰」を目的とせず、子どもたちの心のケアや「居場所」としての役割を目指すスクール ・フリースクールの登校が難しい子のために、自宅で授業が受けられるスクール ・高校進学を視野に入れた、通信制高校が主体のフリースクール(例:学校法人角川ドワンゴ学園「N中等部」等)
などがあります。 自然豊かな環境の中で、精神的・身体的な健康を取り戻すことを目的とした、共同生活を主体とした学校も。
◆サポート校◆ サポート校とは通信制高校に通う子どもををサポートする施設のこと。 「自主的に勉強をすることが難しく、退学する人が多い」といわれる通信制高校を卒業して高卒資格を取ることを目的としたサポートを受けることができ、通信制高校と提携しているサポート校や、高卒認定試験の勉強ができる「塾」「予備校」のような機能を持つスクールもあります。 サポート校では、学習・進路についてだけでなく、メンタル面のサポートもしてくれ、同じ状況の子どもたちと課外活動を行う「居場所」としても利用されることも。 民間の教育施設のため、各校がオリジナリティを打ち出しており、プログラミング・スポーツ・芸術等に特化した学校や、大学進学を目指した学業に特化した予備校のような学校、部活動・文化祭・海外研修などのイベントが盛んな学校もあるので、自分の好きなことや、将来の目標に合った学校を選ぶことができます。
◆放課後等デイサービス◆ 各地で増えている「放課後等デイサービス」は、利用のためには受給者証が必要になりますが、障害者手帳を持っていなくても医師の診断や保健センターでの診断があれば受給者証を発行してもらえ、小・中・高に在籍している場合は利用可能な施設です。 「放課後等デイサービス」は、家の近所にある可能性が高く、たとえ施設が送迎をおこなっていなくても子どもがひとりで通うことができる「居場所」のひとつになることができます。 放課後等デイサービスで行われることは、施設によって様々ですが「不登校支援のため福祉サービス」ではないため、フリースクール・サポート校等のような「学校復帰を目標にする」といった機能は期待できません。しかし、指導員や、他の利用者との会話やコミュニケーションを取ることができ「生活リズムをつけ、生活能力を向上させたい」と考える子どもにとっては、利用する価値がありそうです。 放課後等デイサービスは教室ごとに、通っている子どもの年齢層・特性にも違いがあるため、それぞれ活動内容も異なります。 午前中から開校している教室もあれば、放課後時間のみ開校している教室、土日の利用が可能な教室もありますので、家の近くの教室を探してHPを確認し、見学してみてください。
上で紹介したフリースクールや教室、行政が行う適応指導教室、教育支援センターといった場所は、長期で学校にいけなくて悩んでいる「不登校」の子どもやその親にとっては有効ですが、 「サードプレイス=第三の居場所」が必要だと感じているのは、長期学校を欠席している不登校の子どもだけではないでしょう。
夏休みが開始し、学校は休校になっているものの「家族と過ごすのがつらい」「家に居場所が無いと感じている」子どもも、実は多いという実態があります。
7/30の「Yahoo!ニュース」で、「あなたは子どもの頃、学校や家庭以外に自分の「居場所」だと思える場所(サードプレイス)がありましたか? そこはどんな場所で、どのように過ごしていましたか?という質問が掲載されていました。
掲載から数日で1,100件以上のコメントが集まっており、子どもの頃に「家にいたくない」「居場所がない」と感じながら大人になった人が多かったこと、そして「子ども時代からサードプレイスが必要だ」と感じている人が多いことに驚きました。 回答者は、既に「子ども時代」を終えた20代・30代・40代・50代の方が多く、上であげたようなフリースクールや、こども食堂、行政が行う適応指導教室、教育支援センターといったサービスが無い時代、どこが居場所になっていたのかというと……
一番多かった回答は意外なことに「塾(習いごと含む)」。
続いて「祖父母や親戚の家」「学童・児童館・図書館といった民間の施設」「駄菓子屋・ゲームセンターといった地域のコミュニティ」「ゲームやネットの世界」など。「部活動の時間や、部室が居場所だった」「バイトが居場所だった」という人たちも。
小学5年生から中学1年生にかけて不登校、引きこもりという経験を持つ立命館大学大学院教職研究科の伊田勝憲教授は、自分が救われたのには不登校の前からつながりのあった「鉄道趣味」のコミュニティの存在があったからだったといいます。 「家を出ることもためらっていた時期に、仲間の一人からある日突然『札幌駅に新しい電車の写真を撮りに行こうよ』と誘われ、ほかの仲間も一緒にに電車を乗り回すことになったことがきっかけとなり、結果的に体を動かすようになり、食べるものや気分も変わって「元気」になった」とのこと。
伊田教授は「鉄道仲間とのコミュニティが、サードプレイス、『第三の居場所』として機能していたわけで、そういった「学校」「家」とも離れたコミュニティが、子どもにとっても必要である」としています。
「あなたは子どもの頃、学校や家庭以外に自分の「居場所」だと思える場所(サードプレイス)がありましたか? そこはどんな場所で、どのように過ごしていましたか? という質問に対し、一番多かった回答は「塾」でした。
『私のサードプレイスは「塾」でした。学校では楽しく過ごしていましたが、自宅は教育虐待の日々でした。(教育虐待という言葉は大人になってから知りました。) 自宅は何をしてても(それこそ勉強していても)成績が悪い、勉強しろ、他にも書けないほど酷い言葉を掛けられました。塾は家庭に居場所のない子供に向けて、休館日もこっそり自習室を開けてくれていました。下校後、毎日閉館まで塾で勉強し、塾の先生方が結果も努力の過程も受け止めてくれました。受験に合格した時は第一報を先生方に伝えたのを覚えています。あのときの自分の心を支えてくれた先生方には本当に感謝しかありません。』
といったコメントからもわかるように、塾を単に「勉強を教わる場所」ではなく、「人(先生)とのかかわりの中で安心できる場所」と感じていた人が多く、「先生との関係を大人になっても大切にしている」といったコメントが目立ちました。
ということは、「オンライン塾」「オンライン家庭教師」も、子どもたちの「サードプレイス」になりうるのではないでしょうか?
学校での問題が不登校の原因となっている場合、同じ学校の生徒が通うことになる近所の塾=「サードプレイス」となるのは難しく、また、先生との結びつきが深い個別指導塾は授業料が高額なため、通うことが難しい子どもも多いでしょう。
また、近年増えつつある「起立性障害」などが原因で不登校気味になっている子どもにとって「決まった時間に外に出る」ということ自体が難しい場合も多く、「家族以外の誰かと話がしたい」「家族以外の居場所が欲しい」と思っても、なかなか通塾できずに家に閉じこもりがちになってしまうケースも。
コロナ禍で一気に身近なのものとなった「オンライン家庭教師」「オンライン塾」は、低価格で、時間を選ばずに自宅で授業を受けられることができ、「現役大学生」や「教師経験を持つプロ講師」など、多彩な講師陣から子どもに合った専門の「家庭教師」を探すことができます。
子どもと年齢の近い「お兄さん・お姉さん」的な存在の大学生講師に、子どもは学校や進路の悩みや、友人関係・恋愛・家族関係などのデリケートな相談を打ち明けることができ、通塾以上の強固な結びつきが生まれるかもしれません。 そして保護者は学校の教師経験のあるプロ講師に「学校に戻るためのアドバイス」を貰い、二人三脚でサポートしてもらうこともできるでしょう。
【オンライン家庭教師のラコモ】には、「不登校経験のある先生」や「コーチングを学んだ先生」など、多彩な講師が在籍しています。 時間も30分程度~千円台でお願いできる先生もいらっしゃるので、子どもや家計に合いそうな先生を探してみてください!【オンライン家庭教師のラコモ】で見つけた講師との時間が、お子さんの「サードプレイス」となれば、それほどうれしいことはありません。
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